安保法制廃止を求める東京大学人アピール実行委員会

行動予定

  • 永田浩三氏講演会「表現・報道の自由とメディアの今」

    11月1日(金) 18:30~

    本郷キャンパス工学部2号館221講義室

永田浩三氏講演会「表現・報道の自由とメディアの今」

永田浩三氏講演会「表現・報道の自由とメディアの今」

最近、官邸の意向を受けた文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」に一旦交付した補助金を取り消すなど、政権の考えに批判的な表現・言論活動に対する政治の介入、市民の自由な表現活動を抑圧する行為は目に余るものになっている。しかし日本のマスメディアは嫌韓をあおる一方で、政権に不都合な重大問題は追及しないというように、権力への迎合と忖度は著しく、2019年の世界報道自由度ランキングは67位となった(2010年の鳩山政権時は11位) 。
危機に瀕する日本のメディアのあり方を、憲法で保障されている表現と報道の自由の観点から考える。

「表現・報道の自由とメディア今」講演会開催にあたって

憲法 21 条は集会・結社及び言論、出版その他一切表現自由を 保障し、検閲を禁止しています。表現の自由は、国民が政治的意思決定をするための不可欠の前提条件であり、民主主義の根幹をなすものです。

しかし、最近では、安倍首相の演説に批判的なヤジを飛ばした市民が警察に拘束されたり、あいちトリエンナーレ 2019 の企画展「表現の不自由・その後」に複数の政治家が中止要請や圧力をかけ、匿名テロ予告や多数の脅迫により、中止に追い込まれるといった事態が相次ぎ、政権批判への圧力や自由な表現活動への妨害行為は目に余るものがあります。このままでは、市民の自由な意見表明や表現活動はますます萎縮し、「言論統制」はさらにエスカレートしていくでしょう。

これらの動きに対して、日本のマスメディアは、雑誌が売れる、視聴率が上がるとばかりに嫌韓をあおる一方で、 政権に不都合な事実は報道しない、というように政権への忖度迎合傾向が著しく、「権力の監視」という自らの存在意義を放棄してしまったかのようです。それを裏付けるように、 2019 年世界報道自由度ランキグ(対象180ヶ国「国境なき記者団( RSF )」発表)で日本は 67 位。G7(主要先進国)中最下位です。ちなみに 2010 年鳩山政権時には過去最高の 11 位にランクされています。

本来、数に驕る現政権の暴走を止める大きな力となるべきメディアのこのような状況に、私たちは強い危機感を抱いています。韓国の高官スキャンダルは延々と取り上げながら、日本の厚生政務官の口利き疑惑には軽く触れるだけ。台風 15 号の被害状況はそっちのけで内閣改造ニュースを流し続ける。日本のメディアはいったいどうなってしまったのか?まさに翼賛体制。この国は戦前の「いつか来た道」を再び歩み始めているのではないでしょうか。

今回は、元 NHK プロデューサーで武蔵大学教授の永田浩三氏を講師にお迎えし、この国のメディアのあり方を、憲法で保障されている表現と報道の自由の観点から考えてみたいと思います。

○講演:永田浩三氏

武蔵大学社会学部メディア社会学科教授
元NHKプロデューサー
あいちトリエンナーレ2019企画展「表現の不自由展・その後」実行委員

○日時:11月1日(金)18:30~20:45

○会場:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館2階221講義室
 東京メトロ南北線東大前駅下車徒歩8分・千代田線根津駅下車徒歩10分・都営バス東大構内・東大農学部前バス停
 詳しい会場場所は以下のHPをご覧ください:https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_03_j.html

主催:東京大学教職員組合
   戦争法廃止をめざす東大有志の会
   UT-CAS(安保法制廃止を求める東京大学人アピール実行委員会)
共催:東京大学工学部教職員組合

安保法制廃止を求める東京大学人アピール実行委員会趣意文

1. 私たちは安全保障関連法制の廃止を断固として求める
 2015年9月19日、政府は衆参両院での強行採決をもって安保法制を可決・成立させた。各種世論調査で、国民の半数以上がこの法案に反対の意思を示し、国会の外で、また各地の街頭で、多くの反対運動が展開されているにもかかわらず、政府および自民党・公明党からなる与党は議会での数の力によって強行採決という暴挙に出た。法律の内容、議会運営の手続きなど、政府は立憲主義・民主主義・平和主義のいずれをも蹂躙している。

 政府は、一方で自らの外交努力を果たすこともなく、むしろその意図的不作為によって近隣諸国との緊張関係を作り出しながら、他方で集団的自衛権行使による抑止力の拡大の必要性を「積極的平和主義」として喧伝している。しかし、それが日本国憲法の掲げる「平和主義」を根本から否定するものであることは言を俟たない。

 日本は国際社会でどのような地位を占め、どのような役割を果たすべきなのか。私たちは、価値観の異なる国や地域の人々とどのような関係を、どのような方法で取り結ぶことができるのか。私たちもまた、憲法が謳うように、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」と願うが、その方法や手段については、現政府とは異なる、多様な意見や選択があり得ることを強調したい。そして、その具体的なあり方を国民的規模の議論を通じて具現化させていくことこそ――たとえそれが迂遠な方法でも――、民主主義社会の本来の姿であると考える。その際、私たちが「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」していることは、すべての議論の出発点であることを再度確認しておきたい。

2. 私たちには責任がある
 私たちは、まず何よりもこの社会の一員として、自覚的に行動する。

 同時に、私たちは東京大学の構成員としての社会的責任も果たしたい。東京大学には真理を探究するとともに、その前提となる学問の自由を守る使命がある。東京大学という巨大な機構が、時の権力に仕えるのか、あるいは普遍的な人類社会に仕えるのかは、日本社会あるいは世界全体の帰趨にも大きな影響力を持つ。

 顧みるに、戦前、東京帝国大学は学問の自由を守り抜くことができず、戦争遂行の協力者となり、多くの学徒を戦場に送るという過ちを犯した。このことに対する悔恨は、戦後の東京大学が何度でも立ち返るべき初心である。この過ちを繰り返さないこと、これこそが私たちの先学らへの誓いであり、未来の世代への責任である。

 さらに、戦後の日本における学問の発展を顧みるとき、平和で民主的な社会こそ、その欠くことのできない重要な条件であることが認められよう。それゆえ、すべての東京大学人は、それぞれの理想を追求すべく、日々研鑽を積むことはもちろん、自らのよって立つ社会のあるべき姿について、言葉を尽くして議論し続けなければならない。

3. 行動提起
 私たちは、安全保障関連法制の廃止をめざす。その目的のために、次のことに取り組んでいく。

一、 安保法制の廃止という一致点のもと、東京大学の学生および大学院生、教員、職員、卒業生、その他あらゆる東京大学関係者から、この主張に対する賛同・メッセージを募る。

二、 募集したメッセージの発表や、集会・シンポジウムの開催など、積極的なアピールによって学内・学外に向けて議論を喚起する。

三、 各大学における取り組みや、「戦争法の廃止を求める統一署名」など、目的を共有する団体および運動と連帯していく。

 さらにその上で、私たち一人ひとりが、教室で、また職場や地域社会で、多様な人々とこの目的を共有し、行動を共にすることができるならば、目的は果たされると確信する。

安保法制廃止を求める東京大学人アピール実行委員会

賛同署名・メッセージ受付中

東京大学の学生、院生、教員、職員、OBOGなどの、あらゆる東大人から、安保法制の廃止と閣議決定の撤回を求める署名・メッセージを募集しています。集まったメッセージは公表する予定です。安保法案の成立に反対するメッセージをお書きになった方も、ご面倒ながらもう一度お願いします。

安保法制廃止を求める東京大学人アピール実行委員会について

 私たち実行委員会は、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回と安保法制廃止を求めるために集った東大人の有志です。

 集団的自衛権行使容認の閣議決定は安倍内閣のもとで2014年7月1日に行われ、今まで憲法9条によって禁止されてきた集団的自衛権行使について、憲法の解釈を変えることで容認しました。

 安保法制は2015年9月19日未明に成立。国会周辺を連日市民が取り囲み、国会審議が何度もストップ、世論調査でも国民の多数が成立を求めない状況の中、11本という法案数に見合わない審議時間によって強行採決されました。戦闘地域での兵たんを可能にする(重要影響事態法・国際平和支援法)、PKOでの「駆けつけ警護」や「任務遂行」のための武器使用を可能にする(PKO法)、政権の裁量による「存立危機事態」で先制攻撃戦争も可能にする(事態対処法)など、戦争に直接つながる内容です。

 これらの動きに東大から反対を表明するために昨年5月に立ち上げ、984人の東大関係者のメッセージと4回の学内集会を行ってきた「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会」から改組しました。同様の有志の会は全国150大学以上に広がっています。

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